一章:遭遇

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           何の前触れもなく、いつも通り私は目を覚ましました。    目に映るのは青い空。天井があるべき場所は、世界の広大さを語っていました。    嗚呼、なんていい目覚め――   「って馬鹿ですか!」    同時に、私が外で寝ているという要らない事実も気づかせてくれます。    私は慌てて身体を起こす。    爽やかに身体へ触れる風。緑の香りを私の鼻へ届け、心地よい音が耳に入ります。    草原でした。草原の真っ只中で私は寝ていたようです。    いつから私は野生に帰ったというのか。   「えーと……?」    ……はて。真面目に分かりません。    寝起きは弱いんですよね、私。頭がぼんやりして思考がまともにできません。    なんか、異世界がどうとか――   「え!?」    のんびり思考をはじめた頭へ、大きな音が響いてきました。    慌てて振り向くと、そこには複数の何か。    緑が鮮やかな草原に立つ、うようよと蠢く半液体状の生物。俗に言うスライムというやつでしょうか。    六体ほどのそれらが、私の後方から音もなく近づいています。   「……まずいですよね」    のんびり考える時間はないようです。    いくら雑魚の定番とはいえ、一般人の私が敵う筈ありません。    私は勢いよく立ち上がり、そしてある異変に気づきました。    まず服装。白いワンピースです。ヒラヒラしてて、やたら弱そう。無地効果で貧相さはさらにアップです。軽いダサい薄い。とにかく戦闘には向いていません。    そして装備。私はいつの間にか剣を背負っていました。    革の鞘にしまってあるそれは、私の身長の半分程度の長さ。七十センチ程度でしょうか。    ゲーム定番装備の片手剣です。  
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