二章:新たな日常

33/46
前へ
/115ページ
次へ
           歩いて歩いて、やって来ました。お屋敷です。    お屋敷の玄関を抜けて、エントランス。リーレンさんとそこに到着すると、メイドさん達が集結していました。    数は二桁にいかないものの、見た目的には結構な人数がいるように見えます。工房にいたメイドさんらしき顔も、ちらほら見かけました。   「げっ、新人! リーレン、今日手伝いの予定あったの?」    勿論、その中にはシュネーさんが。並んだメイドさんの先頭に立ち、束ねる位置にいます。    私達がやってくると、シュネーさんは露骨なくらい嫌そうな顔をしました。ちょっとショック。    大理石らしき、質のいい床を歩いていきます。足を置く度よい音が響き、シュネーさんに会えた喜びも相まって、タップでもしたくなる気持ちに。    シュネーさんの近くへ行くと、リーレンさんが頷きました。   「とりあえず、全仕事を体験中だ。シュネー君も、ロウ君に仕事を教えてやってくれ」   「ええー……仕方ないなぁ。扱き使ってやる」   「それでいい」   「ちょっとちょっと。私もう体力残ってませんよ」    間に入ります。普通の掃除ならともかく、シュネーさんに扱き使われたらどうなるか……。午前中なのにへばってしまいますよ。    私が真面目に言うと、リーレンさんが耳打ちをしてきました。   「大丈夫だ。シュネー君は素直な物言いが苦手なだけで、実は優しい」   「それは分かってますが、あの方加減を知らないような……」   「本人の横で何を話してるのよ? 聞こえてるぞ」    聞こえてました。そりゃ真横で耳打ちしても、効果ないのは当たり前ですよね。    ジトッとした視線を向けられ、私は慌ててリーレンさんと離れます。   「加減はする。新人は頼りないし、あたしはなんていってもベテランだからね」    ベテラン……どう見てもシュネーさんは、年齢が十越してるか越してないか怪しいくらいなんですけど。    生前からやっていたとか、ベタなネタを言うんでしょうか。  
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加