二章:新たな日常

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  「じゃ早速始めるわ。みんな決められた場所をピカピカにするんだぞ」   『はい』    私の失礼な思考に、ツッコミが入ることは無論なく。シュネーさんの指示にメイドさん達が、てきぱきと行動をはじめます。    あちらこちらに散っていき、打ち合わせしていない筈のリーレンさんまでもが行ってしまいました。    ああぁ……心細いっ。美少女と二人きりになれたのに、少ししか嬉しくないっ。    寂しさを紛らわすためにシュネーさんへ抱擁を試みます。が、ボディを殴られて敢えなく撃沈。前のめりに転倒します。   「いけず……」   「馬鹿。行くぞ」    うぐぅ。馬鹿ですけど。確かに馬鹿ですけど。    ちょっとくらい、疲れた新人に抱かれてくれてもいいじゃないですか。   「仕事ですね……とほほ」    立ち上がり、前を行くシュネーさんについていきます。    異世界に来てから、特にイベントも起きないで仕事三昧ですね……。美少女との濡れ場とかないんでしょうか。――絶対ないです。うん。    変な期待はよしましょう。私は気分を入れ替えるべく大きく息を吐き、吸います。    よし。心なしか顔もキリッとした気がします。いい気分です。    この調子で仕事を乗りきり、あわよくば親睦を深めるとしますか。  
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