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二階に上り、窓の外へ。大きなテラスに出ると、シュネーさんは私へ雑巾を投げつけました。
これをなんとかキャッチ。何の悪びれもないいたずらっ子のような笑顔を浮かべ、シュネーさんは手すりに手を置きました。
「ここがあたしの担当場所。綺麗なところでしょ?」
「そうですね。シュネーさんに勝るとも劣らない美しい景色です」
テラスは私の自室なんかより、ずっと大きい場所でした。掃除せずとも美しく、テラスから見える景色は一枚の絵画のようです。
青い空、雲、そして中庭の緑と門。加えて、こちらを見て笑うシュネーさん。カメラがあったら、撮影しているところです。
「ったく、馬鹿なこと言うなっ。ほら掃除するぞ。手すり綺麗にしろ!」
「馬鹿なことじゃないんですけどね」
クスクスと笑いつつ、私は手すりに雑巾をかけます。毎日掃除されているのか、全然汚れはありません。
隅々まで行き届いた感嘆し、雑巾を手すりに置きます。
「防具つけときましょ」
手持ちは疲れます。マントも身に付けておきましたし、フル装備といきましょう。あ、これベルトの調整できたんですか。今気づきました。
「……新人。あんた異世界から来たんだよね?」
防具をカチャカチャやっていると、シュネーさんが訊いてきました。
装着が完了して顔を上げてみれば、シュネーさんが箒で掃き掃除をしています。
あら。真面目なトーンに聞こえたんですが、掃除しながらとは……間違いでしたか。
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