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「ええ。異世界から来ましたよ」
「元の世界って……どんな感じだった?」
どんな感じ? 質問の意図がいまいち伝わらず、私は首を傾げます。
考える私。少しの沈黙が訪れます。けれどもシュネーさんは何も言わず、こちらを一度も見ないで掃除を続ける。
とりあえず、答えてみましょうか。
「元の世界は地球という場所で、私はその中の日本という国に住んでました」
「その国は……平和だった?」
「え? 平和でしたけど?」
他国が戦争する中、かなり暢気に平和ボケしてた国でしたね。地球の中でもかなり好きな国です。
けどなんでそんな質問を? 次々沸き上がる疑問に、私の首の角度は肩の方へ狭まります。
シュネーさんは掃除する手を止め、けれども私を見ずに一言。
「銃」
『銃』。そのワードを聞いたとき、私の脳裏にはフルスさんがフラッシュバックしました。
フルスさんが持っていた、あの武器のことでしょうか。
「銃があるのに、平和なのか? そう言いたいんですか?」
「……うん。フルス様の銃を見た? あれは異世界から落ちてきた、数少ない貴重な物で……魔法や剣より簡単に人を殺せる」
まあ、そうですね。銃を持った人と対峙したら、大抵は殺されるでしょう。あっさりと。
そんな物がありながら、何故平和のか……当然の疑問でしょう。
けど――あれ? 何か引っかかりますね。今の会話、どこか不自然だったような。
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