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目覚めから一分弱。異変と目の前の状況、それらを認識して、私はようやく理解しました。
あの謎の人物に送られて、異世界に来たのです。もうここは日本じゃないのです。
そう考えれば、装備も、迫るスライムにも納得できます。
となれば、私がすることは一つ。
あれからちょっと距離を詰め、約二十メートル前方にいるスライムを睨み、私は覚悟を決めます。
序盤は読者確保のために戦闘スタート。気になる展開にするためにも――って、8ページから戦闘じゃ遅いですよね。
ま、まあ一ページでどんな小説かは分かっていただけたでしょう。
ここはストーリー展開からいって、初めての戦闘です。
ここで私つえーをして、読者を確保する感じなのです。多分。
さあ、覚悟するのです私! 読者確保のために!
覚悟する方向が違う気もしなくはないですけど、おそらく大丈夫でしょう。
「初戦闘……」
私は背中の剣を勢いよく抜きます。
革の鞘なのでシャキーンみたいなかっこいい音はなく、風の音に混ざり、服が擦れる小さな音が立った。
剣はそれほど重くなく、見た目も悪くはありませんでした。
手入れはまあまあされているのか、両刃の刀身は太陽の光を反射し輝いています。鉄で造られた一般的な直剣、でしょうか。欠けもヒビもないですし、十分切れる筈です。
可もなく不可もなく。何もかもが中途半端なこの剣からは、何故だか私という人間の面影を感じます。
まさか武器に親近感が湧くとは。
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