三章:真夜中の来襲者

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   できるだけ最短距離で階段へ向かう。先程の爆発音などなかったかのように静かな廊下を、全力で疾走します。    ランプも消えており、廊下は月明かりしか入ってきません。記憶と勘を頼りに、右折。すぐ前に階段が見えました。    ……確か音は下から聞こえた筈です。    私は腰の剣を見やり、頷く。いざとなれば戦えます。   「よっ」    階段は暗くて足を踏み外すかもしれません。そこで私は、階段の手すりに座るようにしてグラインド。滑っていきます。    なんとかバランスを保って着地。一階に到着しました。    階段を降りた先はエントランスです。ランプが一つ壁に掛けられており、二階よりは明るいので助かりました。    息を整えながら周囲を確認します。    何も異変は見当たりません。エントランスの先にある玄関の扉も、普段通りでした。    はて。勘違いでしたか?    拍子抜けする私ですが、ふと近づいてくる気配に気づきました。    同時に、足音も耳に入ります。   「誰ですか!」    腰の剣を抜き、音のする方へ叫びました。    しかし返答はなく、足音が近づいてくるのみ。私の声に少しも歩調が乱れることはなく、規則正しく歩みをこちらへ伝えます。    これは本当に敵かもしれません。    足音が近づいてくる。自分から向かうわけにもいかず、私は剣を構えて待ちます。    ただそれだけなのに、言い様のない緊張感が私を襲い、一分にも満たない時間が長く感じられました。    やがて、息が切れそうな空気の中、足音の主が現れました。  
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