三章:真夜中の来襲者

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           不意の落下は、数秒もなくすぐ終了しました。前ページの台詞を言った直後には、身体に衝撃を受けます。    うつ伏せになるようにべちゃっと床に落ち、沈黙。    あまりに突拍子なく始まり、あっさり終了したため、リアクションすらとれません。   「……自業自得」    楽しようと強行し、暗闇にすってんころりん。面倒くさがりの末路を知ったような気分でございます。    ようやく一言呟くと、私は身体を起こしました。    手を上左右に伸ばし、振り回します。どの方向にもぶつかりません。それなりに広いとみました。    さて。進まなくてはいけないのですが……どうしましょ。   「地下にしては落ちてないような」    落下は台詞一文相当。早口でしたし、建造物を一階落ちるなら、二文三文いける筈。    つまり私は一階にいるのと大差ない場所に立っているわけです。予想ですが。   「となれば階段ですね」    初期のインスピレーションを信用してみます。とりあえず落下地点から前を、足で探るようにして調べます。    少し進んで、足が床を見失いました。階段かもしれません。そこで私は四つん這いになり、手で段になっていないか確認。    床は……あります。しっかり階段みたいになってますね。二段三段と確認を終え、私は立ち上がると慎重に降りはじめました。    途中で落とし穴になってたりしたら、運がなかったと諦めましょう。    コツコツと足音が響きます。暗闇の中でたった一人、階段を降りていく。その心細さは否めませんが、自然と怖くありません。    元来、私は暗いの怖いっ、なんて可愛らしい性格ではないのですが、人間この状況に陥ったら結構パニクるのではと思います。    出口すら見えない暗闇に、一人で取り残されたのですから。  
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