三章:真夜中の来襲者

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   しかし狼狽えもしないのは何故でしょう。    私はそこまで暢気な人間ではなかったのですが……。    戦いを経験した今、暗闇にそれほど恐怖を感じなくなったというのが有力な説ですかね。   「あれ?」    前方、斜め下へ視線を向けていた私は、少し遠くを赤い何かが通っていくのを見かけました。    あれは蝋燭、ランプの火? それと一人、誰かいたような気がします。    なにせたった数秒しか見えなかったので、正確に正体を見極められませんでした。描写する特徴も記憶できないほどです。    あのチラリズム――階段を降りた先が、道と繋がっているのでしょう。    フルスさんかもしれません。下手したら、敵とか幽霊の可能性もあります。   「……行きますか」    足音をできるだけ消し、私はペースを上げます。敵か味方か魔物か分かりませんが、とにもかくにも近づかなければ。    イベントが起きそうならくまなくチェック。ゲームの基本です。    序盤は、後半仲間になるキャラのフラグ立てとかありますからね。逃さないようにしなくては。  
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