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- Kazuya 屋上を出ると、亮が居た。 俺は黙ったまま階段を下りると、腕を掴まれた。 『ちょっと、ええか。』 『俺には話はない。』 『ええから、来い。』 そう言われて俺は、強引に引っ張られた。 黙って付いていくと、カバンと共に外に出た。 『何処に行くんだよ。』 『黙ってろ。』 そう言われて俺は黙るしかなかった。 到着したのは、小山の店。 いつものように椅子に座ると、亮が俺を見た。 『かめ。』 『なんだよ。』 『この前、ここで言ってたことを本気でするんか??』 『賭けのこと??』 『それだけやない。体育祭のこともや。』 そう言われて俺は水を飲んだ。 『わかっとるんか??今の自分の状況を。』 『わかってる。』 『わかっとらん。』 そう言って亮は立ち上がった。 『お前は何もわかっとらん。』 『亮。』 『いくら仲間やないって言うても、これだけは止めなあかん。』 そう言われて俺は亮から視線を反らした。 『もう、決めたんだ。』 『じゃあ、100%大丈夫だって言えるんか??』 『やるしかないんだ。』 『そこまでして、かめはあいつらに何をしてほしいんや。』 そう言われて俺はもう一度、亮を見た。 『俺は何かしてほしいわけじゃない。』 『...。』 『ただ、俺はあいつらに気付いてほしい。それぞれの痛みに気付いてほしいだけ。』 『それは、自分自身の命を削ってでも、やらなきゃいけないのか??』 そう言った亮の目は、哀しそうに揺れていた。 『亮、ごめんね。俺は大切な奴等を見捨てられないんだ。』 そう言って俺は立ち尽くした。 『かめって、いつも優しいな。』 『そんなことない。』 『今、頭の中で何を考えとる??』 そう言われて俺は苦笑した。 『亮は、ぴぃのことを考えてるだろ??』 『...。』 『俺も亮と一緒。』 そう言って俺は立ち上がった。 『じゃあ、また学校でな。』 そう言って俺は店を出た。
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