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少年(千秋)目線。
私とおばあちゃんの椿を食べて?
また、誰かを失う。
また、自分は食べてしまう。
それでも、食べないといけない。
それは、使命であるから。
「…私とおばあちゃんの椿、無駄になるなら、千秋が食べて…」
「…紅葉」
紅葉は昔一緒に遊んだ。
まるで、昔の椛がいるような感覚。
あまりにも紅葉は椛に似ていた。
だから、余計に食べづらい。
けど、無駄になるのは嫌だった。
「…ごめんね…」
こうして俺はまた1つ命を背負うことになる。
今まで俺が食べた人と同じに。
「汝のその椿、我の糧にさせてもらう。
…頂きます」
2つの椿が俺の手の平にある。
呪文を言った後、微かに
ありがとう。
と聞こえた気がした。
〈美味かっただろう?〉
…
〈空腹だったなら尚更だな〉
…そうだね
〈我もこれでまた、街を護ることが出来る〉
…天社さま。もう俺、寝ます。
〈そうか。お休み。千秋〉
脳内に天社さまが話しかけてきたけど、今は答える気にならない。
「…千年の秋を越えても、命の罪は消せない、ね…」
涙が溢れた。
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