少女と狐

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「…はー。お腹いっぱい。ご馳走様でした」 「…はぁ」 この人、お腹が空いてて倒れていたらしい。 ていうか変な人だなぁ… 肌寒くなってきたのに夏服に狐のお面付けてるし。 不思議な感じって言うのかな? とにかく普通の人とは何か違う感じがする。 「ありがとう。あともう少しで死んでたかもしれないし」 「ならどこかのお店に買いに行けばよかったのに」 「お金を落としちゃって…」 何やってるんだか… 「そうだ。お礼をしないと」 「いいよ。じゃあ…「だーめ。いいことだからさ」 うっ… 逃げるタイミングが無くなった… 「キミさ、家出してきた?」 「え?…なんで分かった?」 「…まぁ勘だよ」 なんか怪しい… 当たってはいるけど。 「この街を案内してあげる。どうかな?」 「…泊まれる所はある?」 「うん。それも案内してあげる」 家出してきたうちにとって良い情報だ。 「嘘じゃない?」 「嘘じゃないよ」 なら…いいかな。 行くあてもないし。家にはもう戻りたくないし。 「…お願いします」 「じゃあ、行こうか。…泡沫の街へようこそ」 私はその人に案内をして貰うことにした。
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