少女と狐

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「あら、千秋じゃない。いらっしゃい」 「こんにちは」 「…こんにちは」 お店に入ると果結(かゆう)さんがいた。 このお店は代々受け継がれている和菓子のお店…らしい。 「で、今日は何を買ってくの?そこの女の子に奢るの?」 「…今お金ないんで…」 「わ、私は自分で買うから大丈夫だよ。千秋」 「…」 恥ずかしいな、これ。 「これは何ですか?」 「それは豆大福だよ」 「これは…お団子?緑色のこれは何ですか?」 「それはずんだっていうんだ」 「…どうしようかな。どれも美味しそう」 …見てるだけってこんなに暇だったっけ? 「決めた。これとこれと、あとこれ。それぞれ五個ずつください」 「…分かった。待っててね」 お、決まったのかな。 随分多いと思うけど、まあいいか。 「はい、確かに1590円もらったよ。まいどあり」 「早く食べたいなあ…千秋、ゆっくり食べれる所に行こうよ」 「うん。ちょっと外で待ってて」 果結さんと軽く話がしたいし。 「…あの子、まさか…」 「そうだよ。あの時の女の子の生まれ変わり。そうとしか思えない」 「注文の仕方が全く同じだから気になっていたけど…で、どうするの?」 「今回は絶対に食べないから」 「…知らないよ。後悔しても」 「いいよ。オレは貴方と違うんだから」 「…」 「何時まで、其処に居るの?」 「…いいんだよ。ほら、早く行け」 「ふふ。…じゃあね」
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