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「…え?…」
「この下で眠っているよ」
おばあちゃんの最後の願い。
〈彼岸花の野原に、私を埋めて〉
おばあちゃんは私の両親とケンカして仲良くないし、私以外に仲がいい人がいない。
だから亡くなったおばあちゃんを私は此処に埋めた。
「…椿の花を受け取って…?」
「……」
千秋は黙ってしまった。
「…嫌。できないよ」
「なんで?」
「あの約束、椿はいらないって言ったんだ。もう誰も食べたくないし…」
千秋はぽつりと話す。
がくん
それは、突然だった。
私の身体は突然倒れた。
「!紅葉っ」
千秋が受け止めてくれたから地面に倒れる事はなかった。
だけど
「…千秋…」
手足に力が入らない。
もう、潮時だと身体は訴えていた。
「…ねぇ、千秋。お願い」
私とおばあちゃんの椿を食べて?
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