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「これであと一人だね」
千恵は話題を変えるようにそう呟いて辺りを見回す。
俺と智治と美羽さんもそれに倣って辺りに視線を飛ばす。
でも、もう殆んどグループは決まってしまっているらしく、彷徨いている人は見当たらなかった。
「なんか、目ぼしい人はもういないな……」
そう呟くと智治が応えた。
「だったら別にこのままでもいいんじゃねぇの?
ぶっちゃけ俺は最初っから三人で行くつもりだったし」
「ええっ!?
じゃあ知代ちゃん入ってくれてよかったね」
千恵が驚いた様子で改めて美羽さんの手を握る。
「えっ……ああ、いえいえ……」
美羽さんはキョトンとした表情のまま適当に言葉を選んでそれに応える。
「ってか智治」
「なんだ?」
そんな二人の姿を見ながら、さっき智治が言ってた事で引っ掛かった部分を尋ねる。
「三人で行くつもりだったって、お前本気か?」
「ああ、本気だ。
っていうかお前も予行演習前には三人で生き残るとか言ってただろうよ」
「うん、まぁそうなんだけどさ……
でも今はこんなに人がいるんだぜ?
三人だけじゃなくてもっと大人数で協力すれば生き残れる確率も上がるだろ?」
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