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「逆に仲間にしたやつが裏切るってこともある」
「お前……なんでそんな考え方しか出来ないんだ……!」
ついつい大きくなりそうになった声をどうにか押さえる。
「じゃあお前はあのステージの上の男を信用できんのか?」
それでも智治は冷静な顔をして顎でそいつを示す。
「なにが、言いたいんだ……?」
あの人には信用できる要素なんてない。
でも、逆に信用できない要素だってない。
俺はまだなにも分かってない内から誰かを疑うなんてしたくなかった。
「あいつ、おかしいと思わないか?」
「……どこが?」
智治の声が少し小さくなる。
「まず一つ、あいつは放送で人を集めるとき数が多い方がいいって言った」
コクりと頷く。
「でも、実際にあいつは策なんてなかった」
「でもそれは単純に協力し合う為に……」
「だとしてもこの人数は多過ぎる」
「でも、それに気づいたから五人班に分けたんじゃないのか?」
「それはさっき俺が言っただろ。
顔見知りでグループを組んでたらどうしても班毎の戦力に偏りが出る。
しかもあいつ、それで隊列を作るなんて言ってんだぜ?」
「でも、やっぱりそっちの方が安全なんじゃ……」
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