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「そりゃちゃんと策があんなら強いだろうよ。
でも、お前も分かってると思うがあいつにそんな立派な作戦があるなんて思えない」
なにも言えなかった。
智治の言ってることはムカつくけどどこか説得力があった。
「じゃあ……どうすんだよ……
ここから抜けるのか?」
そう訊くと、智治は大袈裟に溜め息をついて見せた。
……やっぱりムカつく。
「バーカそれこそ自殺行為だろ。
まぁ、なんだ……別に俺はお前とかここにいるやつらと喧嘩したい訳じゃない。
その、つまりだな、あんまり他人を信じすぎるなってこと。
そのうち足を掬われんぞ」
智治はそう言って話を終わらせると、俺の背中をポンと叩いた。
「とっ、知代ちゃん……」
「だっ、だだ大丈夫ですよ!
私そんな、人を裏切るような事なんて絶対しませんよ……!?」
視界の隅で不安そうに美羽さんの手を握る千恵の姿が見えた。
うん、美羽さんは大丈夫そうだな。
きっと智治は第一印象でそうゆうの分かってたんだろうな……
でも、そうは言ってもやっぱり四人じゃ不安だ。
一応設定された人数は五人だし、あと一人ぐらい増えても問題ないよね。
何気無く辺りを見回してみる。
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