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やっぱり余ってる人はいなさそうだな……
ん?
ふと視界の隅に一人だけの影を見た気がして慌てて視線を戻す。
「いた……」
「?
どうしたの大地君?」
呟きが聞こえたのか、千恵が俺の隣に来て首を傾げた。
その後ろには美羽さんもくっついている。
知らない間に仲良くなってるようでなによりなんだけど、取り敢えず今はなにがいたのかをちゃんと説明するべきだろう。
「最後の、一人……」
人を指差すなって親にきつく言われてたから視線だけでその人を示す。
「えと……もしかして……あの人……?」
その人物を見たのか、千恵が気圧された様子で訊いてくる。
まぁ、それも無理はないだろう。
なんてったってその人物はソフトリーゼントに短ラン、ボンタンという今時珍しい古風なヤンキースタイルなのだ。
この時間時間になっても一人でいるのが頷ける風貌だ。
「だっ、大丈夫ですかあの人……怖くないですか……?」
美羽さんの脅えた声が聞こえる。
うん……それは保証しかねるな……
「おい、お前らさっきからなにして――」
背中から掛けられた智治の声が途中で止まった。
「お前、まさかあいつ仲間にしようってのか……?」
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