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それから俺達の視線の先にいる人物を見たのか、驚きと呆れの入り雑じったような声になった。
「ダメ……かな……?」
恐る恐る振り返って智治の表情を窺う。
すると智治はやれやれって感じの顔をしていた。
「まぁ……話してみなきゃ分かんないだろ」
「おっ、おお……そうだよな……」
確かに話してみないと彼がどんな人物かは分からない。
視線を戻す。
当然の事なんだけどそこには厳つい格好をした男が不機嫌そうに壁に寄り掛かっていた。
あれを……勧誘……
「よし、じゃんけんだな。
負けたやつがあの人勧してくるって事で」
一旦彼には背を向けて拳を顔の辺りに掲げる。
「だっ、大地君!?」
「うえぇっ!?
ほっ、本気ですか……?」
突然の提案に千恵と美羽さんが驚きの表情を見せる。
「俺はやんねぇぞ。
別に俺はこのままでもいいと思ってるからな」
無反応な智治が気になって視線を向けると、淡々とそう返された。
くっ……なにも言えん……
仕方ない、智治を抜いた三人でやるか……
顔を戻すと、二人とも顔を青くさせて怯えているようだった。
くそう、どうしたものか……
このままじゃんけんで生け贄を決めても絶対気分よくない。
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