event03 開幕戦

21/64
前へ
/725ページ
次へ
「いや、あんたは山賊か……?」 思わずそんな言葉が飛び出てしまった。 そしたら睨まれた。 しかし、流石にここで怯んだら男が廃る。 「それは困る。 千恵は俺達の大切な仲間だ。 渡すわけにはいかない」 「大地君……」 勇んで言い返しながら隣に立つと、千恵が安心したような表情になる。 ちょっとはかっこついたかな…… そんなこと思ってると後ろから溜め息が聞こえた。 「大地、どうやらやらかしたみたいだ」 どうゆう事だと首を捻ると智治はもう俺の隣にいた。 「お前、見てたのか?」 だからか、俺の視線には気づかずに智治は質問を始めた。 「べっ、べつに見てねぇよ!!」 彼はなぜか顔を赤らめて答える。 「嘘だな、お前は山本の能力を何処かで見てたんだ。 だから山本を欲しがってるんだろ?」 智治がそこまで言って漸く納得した。 そうか、こいつは千恵の持ってる八咫鏡の力を利用しようとしてたのか…… こやつめ、許せん。的な視線を送っていると、彼はポカンと間抜けた顔をして見せた。 「は? その子の能力? なんの話をしてんだ?」 「へ……? じゃあお前……なんで……?」 予測が外れ、ポカンとした表情になる智治。
/725ページ

最初のコメントを投稿しよう!

308人が本棚に入れています
本棚に追加