308人が本棚に入れています
本棚に追加
現在はだいたい四時半ぐらい。
成る程、通りで辺りが暗いわけだ。
本当だったら今日から夏休みだったのにな……
でもまぁのんびり寝惚けてる暇なんてない。
さっさと立ち上がって少しよろめきながら重たい体育館のドアを開ける。
暗かった体育館に弱々しい光が射し込んで中の人達の顔を照らしていく。
外に目をやるとそこには所々に血の染み付いたグランドと、遠くが明るくなりつつある空が見えた。
グランドに脚を踏み入れると、俺の後を追うように他の人たちも外の様子を眺めにグランドに出てくる。
その中には昨日の拡声器男の姿もあった。
「おはよう、大地君」
名前を呼ばれて顔を向けると、千恵がまだ眠たそうに欠伸をしていた。
「おす」
「おっ、おはようございます」
そして、その隣には智治と美羽さんもいる。
ついでに昨日の彼までいた。
「……なんで……あんたが……」
「あんたじゃねぇ、城島 博貴(じょうじま ひろき)だ」
思わず言葉を漏らすと睨まれながらも自己紹介された。
「えっ……ええ、ああ、はい……」
いや、お前の名前とか聞いてねぇし……
「みんな、今のうちに広いところに移動しよう。
期限がない以上籠城してても無意味だからね。
少しでも進んでおこう」
最初のコメントを投稿しよう!