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光の中から現れたもの。
それは、鏡。
歴史の教科書に載っていそうな、しかし真新しい感じの大きくて円形の銅鏡。
それがふわふわと宙に浮かんでいた。
「おぉ、八咫鏡(やたのかがみ)かぁ~!」
小さな男が俺の時と似たような反応を見せていると、八咫鏡が千恵の体に向かって滑るように吸い寄せられていく。
「ひゃっ!?」
近づいてくるやいなや子犬のように体の周りをくるくると廻る鏡に驚いたのか、千恵が短い悲鳴を上げる。
「あっ、あのぅ……
八咫鏡って……強いん……ですか……?」
千恵は困惑した様子で鏡を目で追いながら尋ねる。
「うん、そりゃ三種の神器の一つだからね♪」
え?
三種の神器って、テレビ、冷蔵庫、洗濯機じゃないの……?
「お前……三種の神器って、テレビ、冷蔵庫、洗濯機だと思ってんだろ……」
恐らく俺はとんでもない間抜け面を晒していたんだろう。
智治が呆れた様子で俺に声を掛ける。
にしてもよく分かったな……エスパー?
「あははははは!!
うっ、ぷすすす!!
あっ、あのねぇ、いひひひひひ!!」
俺の勘違いが余程可笑しかったのか、小さな男が体を捩らせて笑い転げる。
「あ~おかし。
まさか八咫鏡見てそっちの三種の神器が出るとは思わなかったよ」
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