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キーンコーンカーンコーン――
学校中に今日全ての授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
教壇に立っていた教師が手に持っていた教科書を閉じ、「ここテストに出るからちゃんとノートにとっておけよ~」と言葉を残して教室を出る。
平和で当たり前な日常の一幕。
まるであの時の事など無かったかのように悠々と流れていく時間。
しかし、このクラスに居る半数近くは知っていた。
これが仮初めの平和であるという厳然たる事実を。
かくいう俺もその中の一人だ。
あれからもう五日という時間が過ぎている。
あらゆるメディアは例の放送を世界中で同時多発的に起きた幻聴現象だとかなんとかと、なにかと理由を付けて説明しようとしていた。
挙げ句の果てにはグランドクロスがなんだとか地球の磁場がどうとか太陽フレアがこうだとか専門用語を使って偉そうな人がもっともらしく説明していたが、学のない俺には難しくて良く分からなかった。
まぁ、取り敢えずそんな感じで世界は神を名乗るあいつの言葉を全否定した。
こうした人々の自分の許容を逸脱した事象に対しての拒否反応は、最早非現実アレルギーとも言えるだろう。
因みに非現実アレルギーって言葉は俺が考えた。
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