308人が本棚に入れています
本棚に追加
/725ページ
「あ~早く一週間たたね~かなぁ・・・」
エアコンが効いていてもまだまだ暑い教室で、俺は下敷きで顔を扇ぎながらつぶやく。
いっそのことさっさとこの暑さが過ぎ去ってくれればこの上無いほどに有り難いのだが、それだと一つ問題が発生してしまうのだ。
そう、何を隠そう高校初めての夏休みまで後一週間というところまで来ているのだ。
ここまで学業を頑張ってきた者にのみ送られる一年に一度の最高級のプレゼント。
それをみすみす逃すのは愚行の極みとも言えるだろう。
「も~大地君ったら、一ヶ月前ぐらいからずっとおんなじ様なことばっかり言ってるんだから~」
俺が来るべきサマーバケーションに胸を膨らませていると、隣の席の女子に半分程呆られながら言われる。
この女子は山本 千恵(やまもと ちえ)。
幼なじみで家が隣同士というなんともギャルゲー的なシチュエーションだが、恋愛感情とかは一切持っていない(特に千恵が)のでそうゆう感じにはならないある意味で残念な女子だ。
「んだと?
いいか千恵、この夏休みというのはどんだけ一大ビッグイベントかというとだな――」
夏休みの大切さをイマイチ理解していない様子の千恵に俺が夏休みの素晴らしさを説明しようと熱弁をふるう。
高校生にもなれば遠出も出来る。
最初のコメントを投稿しよう!