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その差はきっと日数が進む分だけ顕著になる。
この先に待ち構えている苦労と絶望を想像して立ち尽くしていると、不意に教室に設置されているスピーカーから砂嵐みたいなノイズがかった音が流れる。
『ザッ……ザザッ……
あー、あー、聞こえてるか?』
続いて流れてきた声。
男の声だ。
『えーっと、取り敢えずおつかれさん。
あのテレパシー擬きを聞いてたやつなら分かると思うが、明日からの戦いは多分今日の比じゃない。
そこで、俺に一つ提案がある。
でもまぁ、スピーカー越しだと質疑応答も出来ないから生き残ってる人達は一旦体育館に集まってくれ。
話はそこでする』
ブツリと音がしてまた教室は静かになった。
「どうする?」
特にむこうの申し出を拒否する理由はないけど一応智治の意思を確認する。
「どうするって……行く以外の選択肢あるのか?」
「だよな」
少し呆れたように答える智治におどけて返事を返す。
それから、まだ目を覚まさない千恵をおぶって智治と一緒に俺達は体育館に向かった。
体育館にはもう既に数十人の生徒が集まっていた。
これから来るだろう人の分を考えると、結構な数の人が生き残ってる気がする。
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