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すると、漸く千恵が目を覚ました。
「おい、智治!
やったぞ、千恵が目を覚ましたぞ!」
「ああ゛そうかい、そりゃ良かったな」
嬉しさのあまり智治に報告すると、なんか苛立ちと疲労感の合わさったような声で適当に返された。
「大地……君……?」
千恵は上半身を起こすと目をぱちくりさせながら不思議そうに首を傾げた。
「あれ!?
私……なんでこんなところに……!?」
でも直ぐに見慣れない景色に驚いたのか、慌てた様子で辺りに視線を飛ばす。
そんな千恵に俺はこれまでの経緯をざっと説明した。
予行演習が終わったこと、謎の放送に招集されて今体育館にいること、そして明日からの事。
智治の補助もあったお陰か、千恵はすんなりと納得してくれた。
『あー、あー、聞こえてるか?』
丁度そんな辺りで体育館のスピーカーからまた男の声が流れた。
『これから五分後にミーティングを行おうと思う。
数が大いに越したことはない、この放送を聞いているやつは話を聞くだけでいいから取り敢えず体育館に集まってくれ。
……いや、集まって下さい。
以上、待ってます』
…………なんか、えらい弱腰になりましたね……
思わず目がじとっと陰湿な湿り気を帯びる。
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