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でも、その弱腰演説のお陰か、ちらほらと再び人が集まってきた。
そして五分後――
百人?
いや、もっといるかもしれない。
兎に角今体育館には大勢と言っていいほどの人が集まっていた。
大体の人は半信半疑って感じで周りの人と意見を交換しあっている。
「あー、あー、聞こえてるか?」
騒然としていた体育館にもう聞きなれてしまったマイクテストが響く。
みんな静かになってその声の方に顔を向ける。
その視線の先にいる男は何処から持ってきたのか、拡声器を片手に持ってステージの上に立っていた。
「みんな、よく集まってくれた。
取り敢えず礼を言わせてくれ、ありがとう」
「で、あんたの作戦ってなんなの?」
律儀に頭を下げるその男に集まった人の中から急かすような声が上がる。
「いや、作戦って程じゃない。
本当に提案なんだ」
男は申し訳なさそうに応えると、きりっと眼光を鋭くさせる。
「俺と……いや、ここにいる全員と協力してほしい」
男の言葉に再び体育館の中が静まり返る。
かと思うと思い出したようにざわめきがその場を支配する。
多分拍子抜けって感じなんだろう。
俺ももっと仰々しいのを想像してた。
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