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「あっ、いや、嫌なら別に構わない。
わざわざこんなところに集めて悪かったな」
ざわつきを否定ととったのか、男がそんなことを言う。
でも、体育館から出ていこうとする人は一人もいなかった。
まぁ当然と言えば当然だろう。
一人よりは大人数でいた方がお互いに安全な筈だ。
それに、攻撃対象のロックが外れる明日からは下手に一人でうろついていれば天使のリンチを喰らうかもしれない。
いくら強い神器や化身を持っていてもそんなことになればひとたまりもないだろう。
男は人の動きを確認していたのだろう、少し黙ったままだったが思い出したみたいに拡声器を口も前に持ち上げた。
「えっと、取り敢えずここに残ってる人達は協力してくれるってことでいいか?」
その言葉にみんな一様に頷いた。
俺もみんなと同調して頷いていると、隣から声が上がった。
「協力するのはいいとして、具体的に明日からはどうやって行動すんだ?
この数で纏まってたらそれこそ的だろ」
横を見ると智治がいた。
今、体育館にいる殆殆んどの人からの視線を一身に受けているのを見ると、やっぱりさっきの声は智治のだったんだろう。
「そうか……そうだよな。
悪い、気が動転しててさ……そこまで考えてなかった」
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