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あれだけ放送で俺、秘策持ってます感満載だったのに蓋を開けてみたら大分すっかすかだな……
「お前……
よくそんな浅知恵で俺達集めたな……」
それは智治も思ってたのか、怒りと呆れが合わさったような感情をぶつけた。
「いやっ、まぁ確かに浅知恵かもしれないけど団体行動すって考えはありだろ?
現にみんなここに残ってくれたんだし……!」
男が少し焦った様子で反論する。
まぁ、確かにそうだな。
でもやっぱりこのまま死ぬのはごめんだ。
現に俺達は三人で団体行動をとってるからここで離脱しても一人になることはない。
「智治、どうする……?」
少し声を潜めて意見を求める。
「そうだな……」
智治は俺の意思を理解してくれたのか、顎に手を当てて考えるような仕草をする。
「まぁ、その、なんだ、明日までにはまだ時間があるわけだしみんなで考えればいい案も出るだろ」
その間に男が今考えたような口調でそう言った。
本当に大丈夫かなこいつ……
すると、人込みの中から恐る恐る腕が天に伸びた。
「あっ、あの……私、お母さんの様子見てきていいですか……?」
申し訳なさそうな女の子の声に、辺りがざわつく。
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