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「なんでだよ……」
何と無く智治が言おうとしてることが分かっちゃう自分が嫌だった。
「お前の親、契約してたのか?」
「……してない……多分」
「じゃあ、結果なんて分かりきってるだろ……!!」
そう言った智治の声は、まるでなにか苦いものでも噛み潰したみたいに苦しそうだった。
きっとこいつもみんなと同じ気持ちなのかもしれない。
俺の気持ちを分かっていて、それでもこんなことを言っているのかもしれない。
でも、やっぱり俺は……諦めたくないんだ……!
「そんなの行ってみなきゃわかんねぇだろ」
「止めとけ……
行ってどうすんだ」
「生きてたらここに連れてくる」
「それで?
俺達がずっと守りながら戦うのか?」
智治の反論に思わず声が詰まった。
やろうと思えば出来るかもしれない。
でも、自信がなかった。
そしてなにより、智治の“俺達”という言葉。
俺の身勝手な行動のせいで二人にまで迷惑がかかってしまうのは嫌だった。
それにこの現状において、他人に迷惑をかけるということは即ちパーティーの全滅に繋がる。
足を引っ張れば引っ張った分だけ戦況が厳しくなる。
そんなことを考えると足が石みたいに重くなる。
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