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人の命がかかってる中でそんな軽々しく発言なんて出来ないんだろう。
時計にちらりと目をやるともうかれこれ三十分は経過していた。
「智治、なんかいい案ないのか?」
何と無く声を潜めて問う。
「まぁ、無難なのは幾つかの部隊に分けて戦うことだよな。
ただ無闇に群れてもろくな戦力にならないしな」
智治も俺に合わせて声を潜める。
「じゃあそれ提案してみようぜ」
「だめだ」
「なんで?」
「俺達が離れ離れになっちまうかもしれないからな……
かといって見知った顔同士で組ませると戦力が片寄る可能性がある」
なるほど……
そう言われるとぐうの音も出ない。
「それに、戦力を均等にするためには個々が自分の能力を全部さらけ出すってことだ。
なんか……ほんとに直感的なんだけど、それはやんない方がいい気がするんだ……
少なくともろくに素性も知れない他人には……」
智治はそう言うとスッと視線をステージ上の男に向ける。
「おいおい、これからみんなで協力しようってのにそれはないんじゃないの?」
「別に協力するのに信頼関係なんていらねぇだろ。
取り敢えずここにいるやつらは生き残るっていう最終目標が一致してるだけだ」
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