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美沙という女子大生は、茜の持っていた買い物袋を手に取りながら、茜に今日の事を話し出した。
棚崎美沙(タナザキミサ)は、茜の高校時代からの親友である。茜が『鬼龍団』に入っているのを知ってもなお、親友でいた。
茜が『鬼龍団』に入ったのは、高校に入ってすぐの事だった。入ったと同時に茜の友達はそれを知り、次々に茜から離れて行き、ついに友達は誰もいなくなってしまった。
そんな時、同じクラスだった美沙が茜に声を掛けてくれた。美沙は茜に、『“鬼龍団”に入ってるからって、そんなの関係ない!
入ったからって、茜は何も変わってないじゃん!』
その言葉を聞いて、茜はその時涙を流したと………
司から、その事を聞いた昇は言葉も出なかった。
「オギャァァアア!!オギャァァアア!!」
「あっ、起きちゃった?」
隣の部屋から赤ん坊が泣き喚く声が部屋中に響き渡った。その声に気付いた司は、隣の部屋へ行き泣き喚く赤ん坊を抱きかかえ、昇のいる居間へ連れてきた。
「司、そいつ……」
「うちの弟の優太。」
「へぇー……
俺も弟妹、欲しいな……」
「大変だよ。世話。」
「やっぱり………
?」
司に抱かれていた優太は、いつの間にか泣き止み笑いながら、昇の指を握っていた。
それを見た司は、笑いながら言った。
「昇、優太に気に入られたね!」
「え?」
「司、昇君、ご飯出来たよ!」
「はーい!
昇、行こ!」
「あぁ!」
司は、優太を抱きかかえ台所へ行った。それに続き昇も立ち上がり、司の後を追った。
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