総長の正体

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教室へ着くなり、教室にいたクラスメートの一部が昇の周りに集まってきた。 その様子を見た司は、昇に向かってウインクをし、自分の席に着いた。昇は“悪い”と顔の前に手を持ってきた。 「昇君、昨日大丈夫だった?」 「え?……… あぁ…… 全然大丈夫だけど……」 「それはそうと、昇知ってるか?」 「え?何をだ?」 「昨日、昇をさらったあの『風霧団』の捕まってなかった奴らが、『鬼龍団』の協力のお陰で、全員捕まったんだってさ!」 「え?!」 「しかも、それをやったのが『鬼龍団』の総長なんですって!」 「す、スゲェな………」 「………… 金田君」 「?」 ミステリアスな声で昇を呼んだのは、今まで自分の席で本を読んでいた少女だった。 彼女の名前は、夏川香織(ナツカワカオリ)。 無口で何を考えているか分からない、読書好きな少女。 “周りなんて、どうでもいい”という感じの目をしているため、周りからは少し嫌われている。 香織は読んでいた本を閉じ、ゆっくりと昇に近付いてきた。 「な…何だよ、夏川」 「………… あなた、何か隠してる?」 「え?」 「例えば……… 『鬼龍団』の総長を見た……とか?」 「!!」 その言葉に、昇は驚きを隠せないでいた。 “ガラガラ” 「何やってんの。みんな席に着きなさい!授業始めるわよ!」 教室の扉が開いたと同時に担任の仲居が入ってきて、まだ席に座っていなかった生徒に向かって手をたたきながら、教卓へ向かった。
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