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翼は目を読んでいた本から香織の方へ移した。
「…………
首を突っ込むと、ろくな事がないって意味。
関わってもし、自分の身に何か遭ったてからじゃ遅い。」
「つまり、あなたが言いたいことは……
鬼塚さんと金田君に関わるなって意味かしら?」
「…………」
香織の質問に何も答えず、翼は目線を香織から読み途中の本へ移した。
一方で、司は昇を家へ送り亮と共に茜が勤めている警察署へ来ていた。
茜が更衣室で着替えている間、亮は少年課の人に頼みまだ捕まっていない、暴走族と暴力団の指名手配のグループを読んでいた。
その隣で、司も見ようと亮の側へ寄り背伸びをしながら資料に載っている写真を見ていた。
「お待たせ。司帰るよ」
着替え終えた茜が、手に持っていた鞄を肩に掛けながら司の名前を呼んだ。
しかし、司は茜の方をチラッと見てまた見ていた資料に目を戻した。いつもなら名前を呼ばれるとすぐに来る司だが、今日はなんだか様子が少し違っていた。
疑問に思い、茜は司の隣へ行き司が見ている物を見た。
「ねぇ、母さん………」
「?」
「ここに写ってる人達、何だか皆悲しそうな顔してる………」
「そうね………」
「何でこんな悲しそうな顔してるの?」
「…………
皆、大事な物を誰かの手によって壊されたり、大事な物から見捨てられたりって辛い事を自身で知ったから、こんな顔してるのよ………」
「……………
こいつらも、辛い思いしてるのか……
こいつらの、辛い思い取り除いてやりたい………」
「それは私も父さんも、一番望んでいる事よ………
でもね、この人達が自身で殻を破らない限り、手は延ばせないのよ」
そう言いながら、茜は司の頭を優しく撫でた。司は首から掛けていた十字架のペンダントを手で強く握り締めた。
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