総長の正体

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小雨が降る夜……… 雨の音で司は目を覚ました。まだ熱があるせいか、意識が朦朧としていた。 司は頭を抑えながら、布団から起き上がった。ふと枕を見ると枕に敷いていたタオルが少し濡れていた。司は自分の顔を手で触った。 顔は汗で濡れ、さらに目から涙が流れ出たのか目元も濡れていた。 (………… 雨が降っていたから……… あんな夢見たのか……) 夢の事を思い出した司……… 父親が何かで撃たれたと同時に、雨が降り出した。撃たれた場所から何かが飛び散り、それは司の体に付いた。目の前で父親は撃たれた場所から血が流れ出て、仰向けで倒れていた。 夢はそこで終わった。司は膝を抱えしばらく窓の外を眺めた。 「司………」 「?」 自分の名を呼ぶ声がし顔を向けた。いつの間にか襖が開き、そこには部屋着姿の茜が涙を浮かべながら立っていた。 「母さん?どうし」 「司!!」 司が茜に話し掛けようとした途端、茜は司に抱き付いた。司は訳が分からず抱き付いた茜に顔を向けた。 「良かった……… 本当に………」 「母さん、どうかしたの?」 「あんた、3日間ずっと熱で魘されてたのよ」 「え?うちが?」 「そうよ! でも良かった本当に……」 「………… 母さん」 「?何?」 「………… 今更言うのもなんだけど……… 父さんはもう……… 帰って来ないの?」
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