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「司………」
「だって、父さん………
私のせいで」
“パシィン”
「!!」
突然茜は、司の頬を平手打ちをした。司の頬は赤く腫れ上がり、司は叩かれた頬を手で触った。
次の瞬間、茜は涙を浮かべながら司を強く抱き締めた。
「母さん?」
「父さんと約束したんでしょ?
“もう泣かない”って」
「…………」
「だったら、その約束守ろうよ?
母さんも一緒に守から。泣きたくなったら、一緒に泣こう」
「…………
ん………
うん………」
茜の服を掴みながら、司は涙声で茜に答えた。答えた途端、司は茜の胸の中で大声を上げて泣き出した。
部屋中に響き渡る泣き声を、悲しく聞いてか写真立ての前に供えていた、桜の枝に咲いていた最後の桜の花びらが静かに散った。
ーーーー翌日
外は未だに雨が降り続いていた。茜はスーツに身を包み、仕事場に行く前に司の部屋を見た。昨夜の泣き疲れか司は、布団の中で寝息を立てながら寝ていた。
そんな姿を見て、茜は笑みを零し部屋の扉を閉め、優太を連れ家を出た。
学校では、4日も登校しない司を昇は心配していた。五年生に上がる前にも、司は来なく遂に春休みに入るまで来なかった。
クラスでは、司の悪い噂話が流れていた。
「鬼塚さん、また休みか……」
「ようやく来たかと思ったけど、また休み癖が戻ったんじゃないの?」
「え?どういうことだよ?それ」
「俺、小1の時だけあいつと一緒のクラスになったんだけど、4月いっぱいはちゃんと来てたんだけど、5月のゴールデンウイーク明けだったかな、サッパリ来なくなったんだ。
それからは、週に2、3日来るか来ないかの率だ」
「つか、それでよく親が許したな」
「そういえば私その時、お母さんから聞いたわ。」
「え?何を?」
「その時お母さん、夕飯の買い物をしに商店街に来てたんだけど見たんだって。
鬼塚さんとその家族らしき人を」
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