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後ろから聞き覚えのある声がし、昇は後ろを振り返った。そこにいたのは、片手にビニール袋を持ち、髪を下ろした司がいた。
「つ、司?!」
「よっ!」
「“よっ”じゃねぇだろ!!
どうしたんだよ?!4日も学校休んで?!」
「う~ん………
風邪で寝てた……かな?」
「風邪って………
ハァ………風邪なら良かったけど………
って、もう大丈夫なのか?」
「うん!熱も引いたし、母さんが良いって言えば行けるよ」
「そっかぁ………」
「ホントなの?それ」
「?」
司と昇の話を聞いていた香織が、疑い深い顔をしながら司に向けながら言った。
「夏川………」
「何が言いたい?」
「…………
風邪を引いたからって、学校を4日も休むのどうかと思うけど………」
「!夏川!!てめぇ!!」
「あんた、案外疑い深いんだね?」
「どうも」
「別に誉めてない………
確かにうちは、この3日間熱で魘されて、ずっと布団の中。
今日の昼、やっと平熱になって、こうやって外に出たんだ」
「とか言って、ホントはズル休みでもしてたんじゃないの?」
「夏川!!その言い方はヒドすぎるぞ!!」
「だってそうじゃない……
噂で聞いたけど、鬼塚さん……
あなた、五年生になる前、簡単に言えば四年生の三学期………
一回も学校に来てないみたいじゃない……」
「だから何?」
「その訳を話して貰えないかしら?
言えるのであればだけど……」
「…………」
「司………」
顔を下に向けたまま、黙り込む司………
思い出したくないあの雨の日の出来事……
司は一息すると、香織に目を向けながら言った。
「母さんの親戚と両親、父さんの両親が冬休みが終わる前に、立て続けに亡くなったから、それの葬式に出てたんだ………」
「だからって、三学期一杯も休む訳でもあるの?」
「その後に、親戚の家や祖父母の家にある遺品の整理やら何やらがあったんだ………
母さんは仕事があって………
それでうちが、全部やってたんだ」
「ふ~ん………」
疑いの目を浮かべながら、香織は司を見た。司はそんな香織の目を反らさずずっと見ていた。
「ガキ三人発見!」
「!!」
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