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その声を聞いた途端、司と昇は顔を見合わせ同じ方向へ顔を向けた。
そこにいたのは、赤い特攻服を羽織った男が3人立っていた。
(うわぁ………)
(くそ、メンドくせぇ事になったわ………)
「私達に、何か用?」
「あぁ?」
(夏川!!)
(もう、終わった………)
強い口調で言い返した香織は腕を組みながら、男達の前に立った。司と昇は表には出さなかったが、心の中で頭を抱えながら2人で座り込んでいた。
「おいガキ、生意気な口聴いてんじゃねぇぞ!!」
「何が生意気な口よ。
私は正当な事を言っているだけよ。
それに元後と言えば、あなた達みたいな腐った人間がいるから、今の世の中の歯車が崩れてんのよ!」
「このガキ!!
さっきから、俺達が悪いような言い方しやがって!!」
「事実を言ったまでよ。何か文句でもあんなら、言ってご覧なさい」
「こいつ、どうやらお仕置きが必要みたいだな……」
その言葉を聞いた司は香織の手を引き、駆け出した。3人が司達に気を引かれている隙に昇は、3人の脛を思いっ切り蹴り飛ばし、司達の後を追った。
3人は司達を追い掛けようにも、脛が痛く立ち上がることが出来ず、追い掛けられずにいた。
しばらくして、司達は商店街を抜け公園に着き、公園に置かれていたベンチに腰を下ろしていた。
すると、座っていた香織が突然立ち上がり司と昇に顔を向けながら口を開いた。
「何で、逃げたりしたのよ!!」
「え?」
「あんな人達がいるから、世の中こんなに安全じゃなくなったんじゃない!!」
「じゃあ聞くけど、あいつらをあんな風にしたのは誰だ!!
全部、この世の中にいる大人達のせいじゃねぇか!!」
「何で大人が悪いのよ!!
あんな人達がやってる行為って、結局大人の気を引こうとしてるだけじゃない!!」
「子供を勝手に捨ててもか?
あいつらは、皆親に捨てられたとか、親から虐待を受けたとか、親と関係が上手く行かなくなった奴ばかりだ!!」
「夏川、司の言う通りだ!
お前、あいつらの悪口言い過ぎだ!!」
「…………
付き合いきれないわ………
そんなきれい事ばかり並べてるけど、結局悪いのは自分なのよ」
そう言いながら、香織は司達に背を向けそのまま公園を出て行き、帰ってしまった。
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