総長の正体

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その頃、香織は暗い道を駆け抜け、ある一軒の家に駆け込んでいた。 「ハァ………ハァ………」 「お嬢様?! どうされたんですか?学校へ迎えに行ったところ、お嬢様はすでに帰られたと」 「ちょっと、友達の家に行ってたのよ……… お父さんは?」 「旦那様はお仕事の都合で今日から、オーストラリアの方へ出張です。」 「そう……… お母さんは?」 「奥様は残業で、今日は帰ってこないと………」 「分かったわ……」 「お嬢様、夕食は?」 「まだいらない……… お腹空いたら降りてくるから、それまで部屋で休んでる」 「分かりました」 家で雇っていた家政婦に言うと、香織は二階の自分の部屋へ入った。 部屋に入った香織は、部屋に置かれていたベッドに座り横になった。 (………… あいつらに、誘拐されていれば……… お母さんもお父さんも、少しは心配してくれてたかな………) 瞼が重くなり、次第に香織に眠気が遅い重かった瞼を閉じ、そのまま眠りについた。 「取り合えず、偽の総長を駆り出しといて正解だったな………」 人気のないとある空き地……… 日本刀を鞘から出し、刀を月光に照らす1人の男………… 黒い特攻服を羽織った男達が、刀を照らしていた男を中心に、バイクを止めズラッと並んでいた。 「あの四人には悪いが、こいつを誘拐するにはチョイと、囮が必要だったからな………」 刀を持っていた男は、地面に刀を突き刺し、ポケットから写真を取り出した。 それは、学校帰りの香織の後ろ姿が写った写真だった。 「待ってろよ……… 夏川財閥のお嬢さん……… “夏川香織”」
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