鍵屋

9/21
前へ
/720ページ
次へ
「確かに。」 傷がないかどうか、不備がないかを一応一通り確認してから、右京は頷いた。 「次は別の用件で来ることを祈るよ」 そう言った鍵師の言葉に、 「あたしだってそーしたいよ。ってか次は左京に来させるから。」 口を尖らせて拗ねたように応えると、代金を支払った。 「もっと、城の近くに開業してくれない?」 自分勝手極まりない事を頼んでみるが、鍵師はにこりと笑う。 「寒いのが苦手でね」 「そっかぁ」 残念そうに相槌を打ってから、右京は鍵箱を、持ってきた袋に閉まった。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加