鍵屋

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________________________ 「やっぱり、おかしいなぁ」 異変を再認識したのは、山の中腹辺りを飛んでいる時だった。 雨脚が大分強まり、打ち叩くように右京の翼を濡らしていく。 行きと比べると、スピードが幾分落ちていた。 本来なら城に近づくに連れて寒気が増し、軽くなっていく筈の身体が、やけに重たい。 何かが、いつもと違う。 けれど能天気な右京はそんなことには気づかない。 「疲れてんのかなぁ」 コキコキと首を鳴らすと、よし、と気合いを入れ直してみる。 そこへ― ガガーン!!!! 「うわぁぁっ」 稲光が走ったかと思うと、激しい音が辺りに響き渡る。 思わず耳を塞ぎ、目を瞑った。
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