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春。
満開の桜が学内を彩っている。
日光に照らされながら風に舞う花弁。地に落ちたものは薄ピンクの絨毯となり、それら全てが新入生を歓迎しているかのよう。
私、浜野岬もその新入生の一人。期待と不安とに胸をドキドキさせながら、薄ピンクの絨毯を一歩一歩踏み締め、入学式が行われる講堂へと向かう。
新入生同士で楽しげに会話をしながら歩く人達の姿が目に留まる。その様子を見て、高校からの知り合いもいない大学を選んだのは間違いだっただろうかとふと思う。
弱気になる心を叱咤して更に進む。自分で決めたのだ。これからきっと友人もできる。
初めて染めてパーマまでした茶色の髪の毛を風が撫でる。
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