プロローグ

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オレンジ色の光を吸い込んだ霧雨は、うっすらと濁った靄を電球の照射範囲に浮かばせ、再び闇に溶ける。 およそ25メートル間隔で左右交互に配置された街灯は、実用面で見るなら暗がりの範囲が大きく、歩くのに安心出来なさそうだ。 暗闇に潜む犯罪者は光と光の間隙を抜い、目標を襲ったあとは再び闇へと消えていく。 舗装のガタ付き、壁に書きなぐられた落書きを見るからにいかにも治安の悪そうな場所だった。 住民も絶えたこの街路に、訪れる者は地元のギャングか日に一度のパトカーといったところか。
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