プロローグ

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(スリー) 「奴」は沈黙したままだが、モニター越しにその姿を見た指揮要員は戦慄を覚えた。 形が変わっている・・・? (ツー) 交差点のの角、道路脇の排水溝に隠していたM18クレイモア指向性地雷が発火する。 内蔵のC4が爆音を弾き、無数の鉄球が「奴」に襲い掛かった。 飛散する鉄球と発火用火薬の量を減らしているとはいえ、至近距離で数百個の鉄球を受ければ人間ならひとたまりもない。 (ワン) 発火に遅れた爆発音が残響を残す。 霧雨がクレイモアの吐き出した煙を落としていった。「奴」が姿を表す。 縦長だったそれは、左右に大きく腕を張りだし、頭にあたる突起の部位を地面数センチまでもたがせた。 割れた口を上下に大きく開く。
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