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(…結局、あのあと亜理沙ちゃんの願い事聞けなかったなあ)
授業は終わり、放課後の部活の時間となった。
あの話を聞いてからというものそれが頭から離れずボーッとしてしまう。
(普通に考えたらありえない話なんだよなー…)
何度もそう思っているのだが、やはり気になって仕方がない。
(…悪魔…か)
想像してみるけど、どうもグロテスクな容姿しか思い浮かばない。
(…呼び出して…いいのか?)
悶々とそんなことを考えていると…
「…空!」
「わあっ!!」
急に声をかけられて飛び上がる。
「…さ、榊(さかき)先輩!」
空の好きな相手である榊 亮太(さかきりょうた)が現れた。
「さっきからボーッとしてんな。
なんかあったか?」
(か、顔が…近い!)
無意識にこういうことをやってしまうこの人は天然のたらしと言ってもいい気がする。
「い、いや…ちょっと、
友達が教えてくれたことをやるかやらないか悩んでて…」
(嘘ではない!)
顔を赤くさせながらも何とか答える。
「やるかやらないか?
なんだそりゃ」
私の隣に荒々しく座りながら、不思議そうに聞いてくる。
「何て言うか…やるのは自由だけど、もし成功してもそれが私にいい影響を及ぼすかは謎っていうか…」
言葉を選びながらも説明する。
「ふーん。
なんか難しいな」
先輩はコートを見て汗を拭きながら言った。
「それをやるかやらないかを悩んでんのか?」
「…まあ、そうなりますかね?」
しばらく沈黙が流れる。
すると、先輩が口を開いた。
「それをするとお前は何か損するのか?」
「…?
たぶんしないと思います。」
そしてまた沈黙が流れた。
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