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*黄泉の国*
俺が初めてココに辿り着いた時は何もナイ砂漠の様だった。
しかし今は‥
「ォオ~
戻って来たかぁ~♪
どや?焼き芋食べるか?
甘くてホクホクやでぇ~」
親父っさん‥
じゃなくて魔王が来る日も来る日も水を与えた甲斐があり
今では立派な農園と化していて‥
色とりどりの花まで咲いている‥
「頂きます‥。‥うまっ。」
どっからど~見ても
百姓のオヤジにしか見えない
魔王の焼き芋は
思わず声が出るくらい
甘くてホクホクで
美味しかった。
魔王は嬉しそうに
「そやろ~♪」と言って
俺の隣にドカッと座った。
「よ~似おとるな♪
も~肩凝らんよ~なったか?」
「なんねーよ‥
未だに重いわ。」
「何を言うとんねん。
みんな言うてるで‥
12世の後は14世がおるから
天使界は安泰やってな。
それ故‥羽根だけやの~て
色々重たいわな。」
そう‥
俺の背中には
アイツについてたみたいな
大きくて立派な天使の羽根が
ついている‥
オマケにアイツになかった
天使の輪っかまで‥
俺はアイツの育ての親
大天使ラファエル12世の
天使の卵となり‥
無事天使認定試験にも合格し
名実共に天使として過ごしていた‥
「イヤになったら
我慢せんでええで‥
いつでもその羽根
もぎ取ったるからな‥」
魔王は口の端に芋をつけて言った。
「そんな格好してても
一応魔界の魔王だもんな‥
でも‥悪魔になるのは
ゴメンだ。遠慮しとく。」
マコが‥
俺が天使になったと思っているから‥
俺はずっと天使でいたい。
「俺さぁ‥天使になって
よ~やくわかったわ。
運命の相手って
1人じゃねーのな‥
俺の運命の相手って‥
マコだけだと思ってたけど‥
アンタら親子が
一番強烈な運命の相手だわ。」
俺の死後の世界をも変えた
元大天使の魔王と‥
元大天使のマコの再婚相手‥
そして俺の師匠であり
今は親父の大天使。
コレが運命の相手以外
何て言えばいいんだ。
「ヤッパリお前は噂通り
よ~できた大天使やわ♪」
俺の運命の相手は
焼き芋片手に豪快に笑った。
「ったりめ~だ。
誰の子だと思ってんだよ‥
魔王と大天使の子だぞ。」
魔王はキョトンとしたかと思ったら‥
豪快に泣き出した。
「泣くなよ‥
みんな見てるだろ~が‥
それでなくても
目立つのによ‥」
魔王の涙腺の緩さは
出逢った頃より
パワーアップしている‥。
もうすぐ実の息子の
結婚式だと言うのに‥
クソ可愛い親父だ。
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