実戦

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俺が本当の意味で 大天使になってやるっ!! と‥腹をくくったのは‥ アイツが運命の赤い糸を手繰り寄せ‥マコと出逢い‥ 二人の心とカラダが結ばれ時だった。 それまでは正直 親父っさんが言う様に 周囲の期待が重かった。 俺はアイツとは逆で 人間から生まれ変わった天使。 人間界を知り尽くした俺が 他の人間界を知らない天使より上手く立ち回れるのは当たり前で‥ 何も知らない者達は陰で 試験に合格せず堕天使となった13世と俺を比べる者もいた。 その度に俺は‥ アイツの凄さは俺が一番良く知っている。アイツは今でも俺の大天使だ。 と‥言い続けてきた。 それと同時にアイツには 随分ヤキモキさせられた。 何故ならアイツは日本ではなくスペインで孤児として現世に放り出され一般的な家庭の幸せは与えられず‥ 与えられたのは‥ 知らなくていい苦労と 木彫りの天使ただ一つだった。 アイツの苦労とマコとの接点が何もナイ事に俺は‥ 親父っさん‥ いくら魔王だからって そりゃナイだろ? と‥思っていた。 しかし‥親父っさんが 唯一アイツに与えた 木彫りの天使が アイツとマコの天使となった。 それは‥ アイツの母親 マリアが作った物だった。 まだマリアが親父っさんと一緒に暮らしていた頃‥ 親父っさんが拾って来た木で作った物らしい。 今も何処かで生きているであろう我が子を想い天使の絵を描き続けてきたマリアだが 彫刻はコレただ一つで‥ 親父っさんが マリアの記憶を消した時から それはずっと 親父っさんが肌身離さず持っていた。 マリアが天使の絵を描き続ける様に親父っさんにとってもそれは‥我が子の象徴だったに違いない。 人間界で生まれる事が許されず一緒に暮らす事も出来ない‥ その木彫りの天使が親父っさんにとってアイツの身代わりだった。 そして‥ アイツにとって生まれた時から持っていたソレは‥ 顔も見た事がナイ 父親と母親の象徴だったに違いない。 全ては‥ ずっとずっと昔から 始まっていたけれど‥ 偶然を必然にする事は 容易いモノじゃない事は 天使になって痛いくらいよくわかった。 だからこそ 二人が結ばれた時‥ 俺は‥ 大天使になってやる! 心からそう思った。 いくつもの偶然を必然にして 運命の赤い糸を手繰り寄せた アイツの様に‥ 俺が天使になった事も‥ 必然にしてやる! 心からそう思えたから‥。
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