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*20××年7月*
「やっぱりココか‥
オヤジの言った通りだ。
魔界のルシファーの奴‥
目が血走ってたぞ‥」
「アイツの目が血走ってんのは何時もの事や‥」
そう言って魔王は真っ黒のマントでゴシゴシと目を拭いた。
「ったく‥何回見たら泣かずにすむんだよ‥」
「泣いてへんわっ!!
お前のふわっふわの羽根が目に入ったんやっ!!」
「あっそ。」
鼻まで真っ赤にしてよく言うよ‥
「そや‥大天使になったんやったな‥オメデトさん。」
「アリガトさん。」
そう‥俺は親父っさんが何度も時空を飛び越えやって来る
この日‥
二人の結婚式を見届けた後
とうとう大天使になった。
二人はアイツが堕とされた教会で二人っきりで式を挙げたつもりだろうが‥
天使も悪魔も
二人の結婚式に参列していた‥
この日のマコは‥
俺が見た事ないくらい
とても美しくて‥
輝いていた。
生きている喜びに
満ち溢れていて‥
オメデトウ‥
幸せになれよ‥
と‥俺は何度も心の底からつぶやいた。
俺の魂が‥
本当の意味で成仏したのは
この日かも知れない。
そして親父っさんは‥
息子の晴れ姿をもう何回も観に来ている。
自分が果たせなかった夢を
息子が叶えた晴れ姿を‥
「俺そろそろ行くわ。」
「え‥?何か俺に用事あったんちゃうんか?」
親父っさんは子供みたいにキョトンとして立ち上がった俺を見上げた。
「ぁあ‥。また今度でいい。」
「ハア~!?何やねん!!気になるやろ!!今言えやっ!!」
「羽根を引っ張んなって‥
このバカ力っ!!」
「親に向かってバカとは何や!!親に隠し事をすんなっ!!バカ息子っ!!」
まさか二人は空の上で
天使と悪魔が親子喧嘩してるなんて思ってもいないだろう‥
「離せって‥噛み付くなよ!!
ったく‥お前にも~すぐ孫が出来んだよっ!!」
「何やと‥?孫‥。
男かっ!?女かっ!?
俺に似てるかっ!?」
「まだ生まれてね~わっ!!
も~すぐつっただろっ!!」
「俺に似た可愛い~女の子か‥♪俺に似て男っ前の男のか‥♪どっちにしろ可愛い~やろなぁ~‥♪」
ったく‥鼻の下どこまで伸ばしてんだか‥
一番に知らせてやろうと思ったら‥親バカはこれだからな‥
きっとこの先もずっと‥
二人は天使と悪魔に
見守られ続けるに違いない。
なぜなら二人は‥
俺達が叶えられなかった
夢と希望を背負って
生きていてくれるから‥。
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