終章

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マコの旅立ちの日‥ マコは俺にこう言った。 「天使の夢を見たの‥ アナタによく似た 口の悪い天使‥(笑)」 「口の悪いは余計だろ‥ 俺によく似た男前の天使が ど~した?」 「その天使がね…言うの。」 「何て?」 「俺がお前を 幸せに導いてやる。って‥」 「天使のお迎えか? 俺が追い返してやるっ!! 連れて来いっ!!」 「そ~じゃないわ‥(笑) すごく昔‥ そんな事があった気がしたの‥ すごく遠い過去に‥ 何か‥そんな気がしたの‥」 そう言ってマコは 懐かしい目をして 少女の様に微笑んだ。 「じゃぁ‥俺は前世 その天使だったのかもな‥ マコを幸せに導けるのは この世で俺だけだろ…?」 「そうね…。 そんな気がする。 アベル‥私‥ 幸せだった。 約束、守ってくれて‥ アリガトォ…アベル‥ 永遠に愛してる‥。 アリガトォ… ラファエル‥。」 マコは‥ 薄れいく意識の中で 最後に俺ではなく 伝説の大天使の名を呼んだ。 その時、俺の心が 何かにギュッと 鷲掴みにされた様な そんな衝撃が俺を襲った。 マコは‥ 本当に大天使ラファエルと 出逢ったのかも知れない。 そして俺はその大天使だったかも知れない。 そう思うと‥ 流れ落ちる涙も止まった。 だって‥ これが最後じゃないだろ? まだ‥ 永遠は続いている。 あの世でも‥ 俺はマコを探してやる。 そしてきっと また恋をする。 俺の運命の赤い糸は そう簡単に切れないんだよ‥。 なんてったって 大天使ラファエルの 赤い糸だからな… マコ‥ 今日もマコの大好きなトマトがいっぱい採れたぞ… 夏は 冷たいおでんが最高だよな‥ この採れたてのトマトを おでんに入れて‥ 一緒に食おうな… マコ‥ 俺も幸せだったよ‥ 生まれてきて‥ 本当に良かった。 マコ‥ 今もずっと愛してる‥ 出逢った頃より もっと愛してるよ‥ マコ‥アリガトー… 俺は人生の幕を下ろす様に ゆっくりと目を閉じた。 すると‥ まぶたの裏に 白い羽根と黒い羽根が 舞い降りて‥ 俺は白と黒に導かれる様に 深い眠りについた。 何故だか‥ とても懐かしく‥ とてもあたたかくて‥ 心地良い‥ まるで‥ 遠い昔にその温もりを感じた事があるかの様な‥ そんな温もりに包まれて‥ 俺は旅立った‥。
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