終章

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「ママっ!!これお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの昔の写真!?」 「どれ‥?」 「お義父さんもお義母さんも若いなぁ…」 「そ~ねぇ~‥」 「お祖父ちゃんイケメ~ン♪ お祖母ちゃんも美人だし~♪ 美男美女じゃ~ん!! 超羨ましい~♪」 「ホント仲良し夫婦だったよなぁ‥」 「仲良しにも程があるわよ… 母さんが死んで 1ヶ月も経たない内に‥」 「祖母ちゃんをあの世でひとりにしたくなかったんじゃね?」 「そ~だな…義父さんの口癖だったもんな‥ マコをひとりにしない。 マコより一分一秒でも長生きしてやる。って… ちゃんと約束守ったんだもんな‥スゴイよ。」 「そ~だけど‥ 残された私達姉弟だって‥」 「ママ‥。 お祖父ちゃんもお祖母ちゃんもきっと天国で仲良く暮らしてるよ…。」 「そ~だよ…。 お義父さんもお義母さんも 幸せだったと思うよ。」 「二人の結婚記念日に死ぬなんて‥祖父ちゃんらしいよな。」 「ホント♪二人で結婚記念日したかったのよ♪」 「そうね…」 私は‥ この1ヶ月で 父と母を亡くした。 母は一年くらい病に伏せっていたが‥ 父の死は突然の事だった。 いつもの様に庭で畑仕事をした後‥リビングのソファで眠る様にして息をひきとっていた。 まるで‥思い出を辿る旅をしていたかの様に昔のアルバムが置いてあり‥床には真っ赤なトマトがいくつも転がっていた。 父と母は‥ 娘が言うのも何だけど 本当に仲のイイ夫婦だった。 母は年の離れた年下の父とは再婚で‥しかも国際結婚。 私は長女で‥弟と妹がいる。 そして私達姉弟にも子供達がいて‥ 父と母は子供が生まれても‥ 孫が出来ても‥ その仲睦まじさは変わる事がなかった。 いつまでも私達姉弟‥ そして孫達の憧れで理想の夫婦像だったと思う。 だから‥ みんなが言う様に 父が母の後を追う様に亡くなったのは‥ キリスト様もマリア様も‥ 天使も‥悪魔も‥ 誰にも二人を引き離す事は 出来なかったのかも知れない。 二人は死んでもなお‥ 運命の赤い糸で結ばれている。 私は‥ 父と母を見て 運命の赤い糸は‥ 本当にあるのだと そう思わずにいられなかった。 そう思えたら‥ 父と母の死も受け入れられる。 これからもお幸せにね…と。 その時‥ 二人の庭に光が射し 白い羽根と黒い羽根が 舞い降りた。 光り輝く太陽の下で 二人が手を繋ぎ 踊っている様だった‥。 【end。。。】
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